【単語登録の実例】敬語を登録しよう

敬語の単語登録例
ヨス

執筆者

ヨス(矢野洋介)
業務効率を改善し、タイムパフォーマンスを高める時間最適化の専門家。「単語登録」の便利さを伝える「単語登録エバンジェリスト」。著書は『効率化オタクが実践する 光速パソコン仕事術』(KADOKAWA)、『読まれる・稼げる ブログ術大全』(日本実業出版社)。Yahoo!ニュースTech Team Journalでも執筆中、Schoo(スクー)講師

日本語でもっとも難しいルールの1つが敬語です。

ビジネスの場ではとくに間違った敬語を使うと恥ずかしいですし、信頼にも関わってきますよね。

そこで単語登録を活用して「敬語を間違えないシステム」を作ってしまいましょう。

本記事では、敬語の単語登録例を紹介します(参考:単語登録のやり方)。

「敬語」でよく見かける誤用

そもそもですが、敬語をきちんと使えていますか?

もしかすると、「自分は大丈夫」と思っている人ほど危険かもしれません。

なぜなら、敬語は使いこなすのが難しいから。よく見かける誤用例を3つ紹介します。

【誤用1】謙譲語を「相手の動作」に使う

まず、一番見かけるのは「謙譲語(自分に対してだけ使える表現)」を相手の動作に使ってしまうという誤用です。

たとえば「伺う」は、自分の動作に使う「聞く」という意味の謙譲語です。

「先日、社長に(私が)伺いました」が正しい例ですよ!

それを「担当者に伺ってください」のように、相手の動作に使ってしまうと誤用になります(「担当者にお聞きください」が正解)。

【誤用2】身内に「尊敬語」を使ってしまう

2つ目の誤用は、外部の人との会話の中で「身内に尊敬語を使う」というものです。

以前、社長がおっしゃっていた件ですが、いかがでしょうか?

「おっしゃる」は尊敬語です。社外の人と話しているのに、社内の人を立てるのはNGになります。

自分をへりくだるときに使う「謙譲語」を社長に対しても適応させ、次のように言いましょう。

以前、山田(社長の名前)が申していた件ですが、いかがでしょうか?

【誤用3】過剰な敬語表現

3つ目に過剰な敬語表現を紹介しましょう。

過剰な敬語というのは、すでに敬語になっている表現にさらに敬語をつけ足した、次のようなものです。

おいでになられました

「来る」の尊敬語は「おいでになる」なので「おいでになりました」が正解。

申し上げさせていただきます

「言う」の謙譲語は「申し上げる」なので「申し上げます」が正解。

拝見させていただきます

「見る」の謙譲語は「拝見する」なので「拝見します」が正解。「拝見いたします」も許容されている。

「拝見いたします」は、本来「拝見します」でじゅうぶんですが、「拝見いたします」で定着しています。

敬語が重なる表現も多少なら許容されているため、そこまで神経質になる必要はありません。

ただし「おいでになられました」のような過剰すぎる敬語表現の場合は、不快に思う人がいるのでご注意ください。

【ローマ字入力】「敬語」を単語登録する例

では、敬語を間違えないようにするにはどうすればいいのでしょうか?

もちろん単語登録で解決するので、ローマ字入力で「敬語」を単語登録する例を紹介します。

「尊敬語」「謙譲語」を別々に単語登録する例

敬語にまったく自信がない場合は、「尊敬語」と「謙譲語」を別々に単語登録するといいでしょう。

その際には、以下のようなルールを決めるのがオススメです。

「尊敬語」「謙譲語」を登録するときのルール例

  1. 「読み」には終止形(見る・食べるのような形)で登録する
  2. 尊敬語(相手の動作)の「読み」にYを付ける
    you(あなたに)」の略
  3. 謙譲語(自分の動作)の「読み」にMを付ける
    me(私に)」の略

たとえば、このルールで「見る」の尊敬語と謙譲語を登録するなら、次のようになります。

単語読み理由
ご覧ください。
(尊敬語)
みるy「見る」+「y」
※ 尊敬語は「You(あなた)」の動作なので
拝見します。
(謙譲語)
みるm「見る」+「m」
※ 謙譲語は「Me(私)」の動作なので
「見る」の尊敬語と謙譲語の単語登録例

相手に使う尊敬語は「〜ください」の形で使うことが多く、自分に使う謙譲語は「〜します」の形で使うことがほとんどなので、このような形で登録しています。

では、具体的な単語登録例を「尊敬語」と「謙譲語」に分けて紹介しますね。

ここで紹介している単語登録の「インポート用データ」を用意しました(参考:単語登録のインポート/エクスポートについて)。

ダウンロードして使ってくださいね。

「尊敬語」を単語登録する例

まずは「尊敬語」を単語登録する例を見ていきましょう。

尊敬語は「You(あなた)」の動作を表現するときに使うことが多いためYを付けています。

単語登録例

  • ご覧ください。
  • みるy

アニメーション画像で見てみましょう。

「みるy」で「ご覧ください。」を単語登録している例
「みるy」で「ご覧ください。」を単語登録している例

そのほかの登録例はこちらになります。

単語読み理由
ご覧ください。みるy「見る」+「y」
おっしゃってください。いうy「言う」+「y」
お越しになってください。くるy「来る」+「y」
お会いになってください。あうy「会う」+「y」
お耳に入れておいてください。きくy「聞く」+「y」
お召し上がりください。たべるy「食べる」+「y」
お帰りになってください。かえるy「帰る」+「y」
お受けになってください。もらうy「もらう」+「y」
ご存じですか?しるy「知る」+「y」
なさってください。するy「する」+「y」
いらっしゃってください。いるy「いる」+「y」
ご理解ください。わかるy「わかる」+「y」
お待ちになってください。まつy「待つ」+「y」
お求めになってください。かうy「買う」+「y」
お読みになってください。よむy「読む」+「y」
ご来店ください。らいてんするy「来店する」+「y」
尊敬語の単語登録例

アルファベットを追加して単語登録する方法も参考になりますよ。

「謙譲語」の単語登録例

続いて「謙譲語」の単語登録例を見ていきましょう。

謙譲語は「Me(わたし)」の動作を表現するときに使うためMを付けています。

単語登録例

  • 拝見します。
  • みるm

アニメーション画像で見ると、次のとおりです。

「みるm」で「拝見します。」を単語登録している例
「みるm」で「拝見します。」を単語登録している例

実際に登録している例を見てみましょう。

単語読み理由
拝見します。みるm「見る」+「m」
申し上げます。いうm「言う」+「m」
伺います。いくm「行く」+「m」
お目にかかります。あうm「会う」+「m」
伺います。きくm「聞く」+「m」
いただきます。たべるm「食べる」+「m」
失礼させていただきます。かえるm「帰る」+「m」
いただきます。もらうm「もらう」+「m」
存じ上げております。しるm「知る」+「m」
いたします。するm「する」+「m」
おります。いるm「いる」+「m」
かしこまりました。わかるm「わかる」+「m」
お待ちしております。まつm「待つ」+「m」
買わせていただきます。かうm「買う」+「m」
拝読します。よむm「読む」+「m」
来店いたします。らいてんするm「来店する」+「m」
謙譲語の単語登録例

「正しい答え」を単語登録する

ある程度の敬語がわかっている場合、まちがった「読み」に「正しい答え」を単語登録する方法があります。

たとえば、「伺う」は「尋ねる」という意味ですが、自分が尋ねるときにしか使えません。

つまり「伺ってください」と、誰かにお願いする表現はありえないのです。

そこで、次のように単語登録しておきます。

単語登録例

  • お尋ねください
  • うかがってください

誤用であるうかがってくださいを漢字変換しても、正しい敬語であるお尋ねくださいに変換されるというわけです。

単語読み理由
お尋ねください。うかがってください「伺ってください」は敬語の誤用だから
ご覧ください。ごはいけんください「ご拝見ください」は敬語の誤用だから
拝見します。はいけんいたします「拝見いたします」は過剰敬語だから
おいでになりました。おいでになられました「おいでになられました」は過剰敬語だから
正しい答えを単語登録する例

単語登録で文字の入力ミスを防ぐもご覧ください。

「敬語のルール」を単語登録する例

かなり敬語に慣れている人の場合、敬語のルールを単語登録する方法もあります。

たとえば、次のようにまちがいやすい「敬語の答え合わせ」を登録しておくのです。

単語登録例

  • 伺う(「尋ねる」の謙譲語)→ ×伺ってください 〇お尋ねください
  • けいご;

この例は「伺う」を相手に使っていいかどうかを確かめるために登録しています。

けいご;と入力し、漢字に変換すると伺う(「尋ねる」の謙譲語)→ ×伺ってください 〇お尋ねくださいという文字が出るため、「あ、相手に使ってはダメなんだな」と気づけます。

次のように、謙譲語を相手に使う誤用を未然に防ぐために活用すると便利ですよ。

単語読み理由
伺う(「尋ねる」の謙譲語)→ ×伺ってください 〇お尋ねくださいけいご;「敬語」+ セミコロン
いただく(「もらう」「食べる」の謙譲語)→ ×いただいてください 〇お受け取りください/召し上がってください
拝見する(「見る」の謙譲語)→ ×ご拝見ください 〇ご覧ください
申す(「言う」の謙譲語)→ ×申してください 〇おっしゃってください
敬語のルールだけを単語登録する例

「けいご;」で登録しているのは「敬語」と入力したいときに競合しないための対策です(参考:変換候補が競合するとは?)。

答え合わせをするために単語登録を活用する例も参考になると思います!

敬語を普通に単語登録する例

本記事で紹介しているような「敬語の誤用」をしない人の場合は、ストレートに単語登録をしましょう。

たとえば「ご覧ください」なら「ごら」で入力できるようにする方法です。

単語登録例

  • ご覧ください。
  • ごら

ほかにも次のような例があります。

単語読み理由
ご覧ください。ごらごらんください」の略
お申し付けください。おもうしおもうしつけください」の略
お待ちしております。おまちおまちしております」の略
敬語の単語登録例

ちなみにビジネスで敬語を使う場合は、使用するパターンがあらかじめ決まっているので、もっと文全体を登録するのがオススメです。

単語読み理由
詳しくは、添付の資料をご覧ください。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。てんぷ;「添付」+ セミコロン
その他にご質問がございましたら、〇〇にお申し付けください。そのほか;「その他」+ セミコロン
では、連絡お待ちしております。れんらく;「その他」+ セミコロン
文章での登録例

長い文を登録すればするほど、時短になりますよ。

【スマホ】「敬語」を辞書登録する例

続いて、「敬語」をスマホ(フリック入力)で入力するときの辞書登録例を紹介します。

「尊敬語」「謙譲語」を別々に辞書登録する例

敬語にまったく自信がない場合は、「尊敬語」と「謙譲語」を別々に単語登録するといいでしょう。

その際には、以下のようなルールを決めるのがオススメです。

「尊敬語」「謙譲語」を登録するときのルール例

  1. 「読み」には終止形(見る・食べるのような形)で登録する
  2. 尊敬語(相手の動作)の「読み」の頭にを付ける
  3. 謙譲語(自分の動作)の「読み」にを付ける

具体例で見てみましょう。

単語読み理由
ご覧ください。
(尊敬語)
「ー(長音)」+「見る」
拝見します。
(謙譲語)
「を」+「見る」
「見る」の尊敬語と謙譲語の辞書登録例

上の説明にあるようにを頭につけているのは、「ー」と「を」からはじまる日本語はないからです。

そのため、ほかの変換候補とけんかせずに入力できます。

「尊敬語」を辞書登録する例

まずはスマホで「尊敬語」を辞書登録する例を紹介します。

単語読み理由
ご覧ください。「ー」+「見る」
おっしゃってください。「ー」+「言う」
お越しになってください。「ー」+「来る」
お会いになってください。「ー」+「会う」
お耳に入れておいてください。「ー」+「聞く」
お召し上がりください。「ー」+「食べる」
お帰りになってください。「ー」+「帰る」
お受けになってください。「ー」+「もらう」
ご存じですか?「ー」+「知る」
なさってください。「ー」+「する」
いらっしゃってください。「ー」+「いる」
ご理解ください。「ー」+「わかる」
お待ちになってください。「ー」+「待つ」
お求めになってください。「ー」+「買う」
お読みになってください。「ー」+「読む」
ご来店ください。「ー」+「来店する」
尊敬語の辞書登録例

次のようにを右にフリックしたら出てきます。

☆123 
ABC空白
あいう改行
 ^_^  
「を」を入力する例

の左にある^_^が自分だと思ってください。そして右に相手がいるイメージです。

「尊敬語」は相手の動作に使う敬語なので、フリックで右に入れたときに出るを頭につけます。

「謙譲語」の辞書登録例

つづいて「謙譲語」をスマホで辞書登録する例を見ていきましょう。

単語読み理由
拝見します。「を」+「見る」
申し上げます。「を」+「言う」
伺います。「を」+「行く」
お目にかかります。「を」+「会う」
伺います。「を」+「聞く」
いただきます。「を」+「食べる」
失礼させていただきます。「を」+「帰る」
いただきます。「を」+「もらう」
存じ上げております。「を」+「知る」
いたします。「を」+「する」
おります。「を」+「いる」
かしこまりました。「を」+「わかる」
お待ちしております。「を」+「待つ」
買わせていただきます。「を」+「買う」
拝読します。「を」+「読む」
来店いたします。「を」+「来店する」
謙譲語の辞書登録例

次のようにを左にフリックしたら出てきます。

☆123 
ABC空白
あいう改行
   、。?!
「を」を入力する例

先述したように、の左にある^_^を「自分」だとみなします。

謙譲語は自分に使う敬語なので、自分に向かって左にフリックをしたときに出るを頭につけます。

「正しい答え」を辞書登録する

正しい答えをスマホで辞書登録する方法は、パソコンの場合と同じです。

詳しくは上で紹介した箇所を参考にしてください。

「敬語のルール」を辞書登録する例

「敬語のルール」を辞書登録する方法は、スマホには向いていません。

なぜなら変換候補が出てくる場所が狭いからです。

パソコンの場合は先述したこちらの箇所をご参考に。

敬語を普通に辞書登録する例

敬語をスマホで普通に辞書登録する例を紹介します。

単語読み理由
ご覧ください。ごらんください」の略
お申し付けください。おもうしつけください」の略
お待ちしております。おまちしております」の略
敬語の辞書登録例

まとめ

今回紹介した敬語を単語登録するワザの利点は、なんといっても敬語の誤用を防げることでしょう。

何度も述べますが、敬語は複雑で間違いやすいです。

ビジネスメールで相手先に失礼があったり、恥をかいたりしないようにぜひ単語登録を活用しましょうね。

著書の紹介

わたしは自他共に認める「効率化オタク」です。

そのわたしが、KADOKAWAさんから『効率化オタクが実践する 光速パソコン仕事術』という書籍を出版しました(おかげさまで重版もされました)。

この記事を気に入ってくれたなら、きっと満足していただけるはず。

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ABOUT US
ヨス
データ入力のアルバイトをしていた20代のころ、頭を使わなくてもよい「単純作業」をいかに頭を使って効率化するかに情熱を燃やす。この経験から、自分が効率化に異常な関心があることに気づく。著書は『効率化オタクが実践する 光速パソコン仕事術』(KADOKAWA)と『読まれる・稼げる ブログ術大全』(日本実業出版社)。